この記事では、開業税理士が初年度で新規受注額1,300万円突破した事例をご紹介します。
・専門特化する分野の絞り込み
・競合性、市場規模を考慮した立地選定
・70~80%以上の受注を獲得した販促媒体
会計事務所コンサルティングチーム 鈴木 利明(すずき としあき)
弊社では開業前後の税理士先生より「開業初年度より成果を上げたい!」というご相談をいただくことが多々あります。
どの程度であれば、開業初年度の成功事例と言えるものでしょうか?
分野(テーマ)・エリア・投資額により基準は異なりますが、弊社では”新規受注額700~1,000万円超”、あるいは”25~30件以上の顧問先獲得”という実績が、開業初年度の成功事例と言えるレベルだと考えています。中には”新規受注額3,000万円超”や”100件の顧問先獲得”等、圧倒的な実績を持つ先生もいらっしゃいます。
実際にあった昨年の開業税理士成功事例をご紹介します。
とある開業税理士先生は顧問先0からスタートしましたが、開業初年度である2015年を終える頃には新規受注高1,300万円を突破し、獲得件数も40件を超えるという実績を出されています。
開業前は、専門特化する分野(テーマ)を「創業支援」に絞り込み、競合性・特化する分野の市場規模を考慮した立地選定(どのエリアに事務所を構えるべきかという診断)を行いました。候補となるエリアにおいて、「創業支援」の競合事務所数やHP調査(競合性)、ターゲットとなる年間の新規設立法人数・開業者数(市場規模)を算出してから良し悪しを判断し、最も条件が良いエリアを開業地に選定しました。
開業後は、Web・紙媒体を中心としたダイレクトマーケティング経由で70~80%以上の受注を獲得されました。対象エリアを絞り込み、ターゲットにあらゆる手法(角度)でアプローチを行った結果です。
Webでは、検索エンジンから自所HPへの訪問者を増やすSEM(サーチエンジンマーケティング)の強化に加え、他事務所が実施できていない広告手法(ディスプレイ広告・SNS広告)まで活用しています。
また、紙媒体では、1件のハウスリストに対して複数回のダイレクトメールを送付しており、新規設立~1期目決算の経過で発生するニーズを拾うサービス案内(資金調達・決算等)を告知しています。
販売促進に投資した総コストは約120万円であり、内販促費比率(受注額に占める販促費の比率)はわずか6.9%、1件当たりの獲得コストは2.3万円を切りました。一般的な税理士紹介会社手数料(60~80%)と比較すると1/8~1/10まで削減ができており、費用対効果抜群の実績です。
2015年度 開業税理士の成功モデル
新規受注額 | 1,300万円 |
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販促費比率(販促費用/新規受注額) | 6.9% |
獲得件数 | 40件 |
1件当たり獲得コスト(販促費用/獲得件数) | 2.25万円 |
販売促進 総コスト | 120万円 |
HP制作費用 | 20万円 |
販促費用 | 90万円 |
Web広告費用 | 60万円(5万円/月) |
その他販促費用 | 30万円(2~3万円/月) |
その他費用 | 10万円 |
初年度折り返し地点になると、顧問先も順調に増加したため、初めての職員を採用されました。また、年末には今後更なる拡大を見込んで、開業初年度にもかかわらず事務所移転を行いました。開業2年目となる2016年度は新規受注額1,500万円超を目標とし、安定的成長を目指されています。
これから開業される方、開業されて間もない方(あるいは開業時の初心に立ち返る…という方)へ、少しでも参考になれば幸いです。
鈴木 利明(すずき としあき)