この記事では顧問先の事業承継対策の重要性についてお伝えします。
皆さん、こんにちは。船井総研の岡田弘毅です。
士業の先生方は、「顧問」業務を行われているケースが多いと思いますが、
皆さんは顧問先の“事業承継対策”をしっかりと把握されておりますでしょうか?
事業承継は今や、国が喫緊の課題と位置づけている大問題で、
今のまま時が流れたと仮定した場合、
経産省では2025年までに日本の中小企業は120万社が事業存続に行き詰まり、
実に650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる恐れがあると試算しています。
事業が行き詰まれば、当然顧問業務もなくなるわけで、
士業の先生方にとっては、売上を損なう事になりかねません。
しかし、顧問先の事業承継対策について、
日頃から対策を提案されている士業の先生は少ないと感じています。
私は法律事務所を専門にコンサルティングさせて頂いているのですが、
ある事務所で顧問先の事業承継に関する業務を都心の事務所に依頼されてしまった、
という場面に直面したことがありました。
全国的にこのようなケースは増加しているようです。
それでは、なぜこのような現象が起こっているのでしょうか?
中小企業白書2017年に掲載されている、
事業承継の相談相手についてのアンケート結果では下記のような結果となっています。
出所:中小企業白書2017
このアンケート結果から言えるのは、
経営者はよく接触する機会がある専門家に事業承継の相談をしているということです。
しかし、一番相談相手になることが多い顧問税理士であったとしても、
他の専門家に相談されることがあるという側面も見えてきます。
つまり、顧問先の事業承継については、
先生方から社長に打診をしていかなければならないということが言えます。
事業承継の提案をしていないがために他の専門家(同業)に相談され、
後継者に代替わりするときに、
顧問も切り替えられてしまうというリスクを防がなければなりません。
それでは、どのような経営者に対して事業承継を提案していく必要があるのでしょうか?
日本は長寿大国の一つではありますが、誰しもいつかはお亡くなりになります。
厚生労働省が発表している簡易生命2017によると、
男性の平均寿命が81歳、女性の平均寿命は87歳です。
中小企業庁などでも発表されているように、
事業承継には10年程度の期間を要すると言われています。
短い場合でも3年~5年程度みておかなければ、事業をスムーズに承継できません。
つまり、平均寿命から事業承継にかかる期間の10年を引いた70歳が、
社長が事業承継に取り組まなければならないリミットということです。
また、事業承継においては、より早い段階で承継しておいたほうが、
外部環境の変化に柔軟に対応でき、
結果として承継後の企業の業績が上向きやすいというデータもありますから、
早期段階で事業承継を考えている社長がいるようであれば、
早期段階で承継に向けた対策を提案されるべきです。
顧問先に70歳以上の社長がいる先生方は、
ぜひ早い段階で社長に事業承継対策について打診をされることをおすすめします。
今なら、事業承継税制が変わったため、特例承継計画などを活用することで、
顧問先にとってもメリットが多いはずです。
最後に、事業承継は非常にナイーブな問題です。社長にとっては、
会社は我が子のように考えられるくらい愛着があることも少なくありません。
そのため、安易に社長に事業承継の話をすることができないと思われている先生もいると思います。
このような場合は、
「2019年に天皇陛下も退位されますから、天皇陛下の退位のタイミングで、
社長も後継者に会社を任すことを考え始めてみませんか?」
と投げかけられても良いと思います。
ぜひ、先生方の手で顧問先の事業承継をしっかりサポートし、
一層長いお付き合いにつなげていただけますと幸いです。
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