いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。船井総研の廣瀬です。
本日は、理想的な相続の面談とは?というテーマでお送りいたします。
長年の経験をお持ちの先生にも、これから相続に力をいれていきたい先生にも、新人教育に苦心されている先生にも、お役立ていただける内容かと思います。
ぜひ、お目通しください。
目次
士業の先生がやってしまいがちな「よくない面談」とは?
私はこれまで、相続専門のコンサルタントとして、多くの面談研修や、ロールプレイングを行ってきました。
そのなかで、士業の先生がやってしまう「よくない面談」の共通パターンが分かってきました。
(※よくない面談=受任につながらない、スポットや低単価での受任になってしまう面談)
【よくない面談あるある】
・制度説明会になっている
・資料を使わない、渡さない
・無料相談=1回という前提で面談を終わらせている
・顧客に判断を丸投げして面談を終わらせている
・人によって、または同じ人でもその時々で面談のやり方がバラバラ
・なぜ受任になっていないのか、理由がよくわからない
このような面談でも、相続のご依頼をいただくことは可能です。
しかし、これで受注できている顧客は「上位2割の優良顧客」であるか「超・顕在化したニーズ」だから受注できているのです。
これからの相続市場において、士業としての真の価値を発揮していくためには、顧客の潜在的ニーズへのサービス提案や、リピーターになっていただくことが絶対に必要です。
そのためには、面談の在り方を根本的に見直す必要があります。
では、具体的にはどのような面談をするのがよいのでしょうか?
理想的な相続面談とは?
まず、受任率が高く、単価やLTVも高い先生方の面談を体系的に落とし込むと、このような流れになります。
【理想的な面談の組み立て】
信頼構築+ヒアリング+ニーズ喚起+提案+フォローの仕掛け
基本的には他業種などでも活用されているセールスの基本に沿った形になっています。
では、それぞれの内容を見ていきます。
【信頼構築】
受任率が高い先生ほど、自己紹介、事務所の紹介にしっかり時間をかけます。
士業に依頼することは人生で何回もありませんので、普通の方であればかなり緊張しています。
そして「司法書士は登記だけ」「税理士は税申告だけ」「弁護士はトラブル対応だけ」のように、偏ったイメージで相談にきていることが多々あります。
この時間で、例えば、相続手続きは全てお任せいただけること、その先の生前対策や不動産の売却もお任せいただけることなどを伝えます。
【ヒアリング】
ここは、多くの先生方が得意としているところかと思います。
ただ、相続人の家族関係や、年齢、職業、健康状態まで徹底して聞いている先生は多くありません。これらの情報は「提案の芽」であり、「将来的な案件の種」です。
徹底的にヒアリングに時間をかけましょう。
【ニーズ喚起】
ヒアリングをして、すぐに商品提案、となりがちですが、ここでいったんまとめをします。
ヒアリングから見えてきたリスク、お客様のご意向、法的な事実の間には「ギャップ」があります。この「ギャップ」を埋めるのが専門家によるサポートです。
「○○さんのご意向は~~ですね」「ただ××という状況があるので、△△の部分に気をつける必要があります」
「そうすると、法的には、いくら~~というご意向でも◆◆という形になってしまいます」
といったイメージで、具体的な事例も交えつつ、お客様と専門家の間のギャップを埋めていきます。
【提案】
ここまできて、ようやく提案です。
ヒアリングで整理した状況をふまえ、より良いゴールにつなげるために、事務所が提供しているサービスをご説明します。
①どんな方に対するサービスなのか
②どんな効果やメリットがあるのか
③どういう業務を士業がおこなうのか
④それはいくらなのか
という4点が、明確に伝わるように、商品チラシなどを使ってお客様に伝えます。
【フォローの仕掛け】
相続や生前対策の場合、面談をして、即受任にならない方々もたくさんいます。
そのようなとき、大多数の先生が「ではまた、必要になったらお越しください」といって面談が終了します。
これはNGです。スケジューリングは、専門家である士業がコントロールできるように、お客様に伝えましょう。
そして、事務所から進捗確認のご連絡を入れられるように「マインドセット」しておくことが重要です。
終話のイメージは、
「○○さんのご状況ですと、来月くらいには◆◆を進める必要があります」
「そのころ、また○○さんのご状況を、相談部門スタッフより確認させていただきます。」
「ご質問などあれば、LINE相談窓口がありますので、こちらご登録下さい」
というような形で着地しておくと、その後のフォローも非常にスムーズです。
面談担当がフォローまでする必要がないように、うまく仕組み化することも重要です。
理想的な面談を、いつでも・誰でもできるようにするためには
ここまでご説明した面談のポイントは、おそらく「ウルトラC」的なものではないでしょう。
言われてみれば当たり前のことばかりかと思います。
その当たり前ができていないケースが実に多いのです。
とはいえ、それは当然のことだと思います。相続の面談は頭を多方面に使うシーンであり、抜け漏れはどうしても起こります。
であるからこそ「再現性高く、そのまま進めていけば基本的な面談の型は踏襲できるツール」が役に立ちます。
こういったニーズを受けて、船井総研で作成した面談ツールは、読み進めていけば、理想的な面談の流れが作れるようになっています。
(※個別コンサルティングのお客様・研究会員様にご提供しています)
ここでは、この相続面談ツールの構成をお伝えしますので、ぜひ事務所でのツール作成・ブラッシュアップのご参考になさってください。
面談ツールの構成・使用方法
【ツールの構成】
表紙:
P1:事務所紹介・自己紹介
P2~3:相続手続きの全体の流れとお客様の現在地の確認
P4~6:相続人についての基本情報、家族関係で気をつけるべきポイント
P7~10:相続財産の基本情報、確認チェックリスト、相続税や遺産分割の選択肢についての概要
P11:相続に関するリスクチェック
P12~17:サービスのご案内
P18:相続手続き後の生前対策、二次相続対策について
P19:不動産の簡易査定について
P20:今後のスケジュール・概算お見積り・次回までの宿題・ご連絡方法
【面談の進め方】
先生方とお客様と、一緒にページをめくりながら、面談を進めます。
先生方は、手元のヒアリングシートにメモをとりながら、進行します。
家族関係や財産状況のヒアリング、ご意向の整理整頓といった面談の流れに沿って、随時、手元資料も見ながら、適宜、説明を補足します。
あくまでもメインはヒアリングです。資料説明会にならないように注意が必要です。
ポイントとして、忘れがちな二次相続対策や、不動産の査定の提案、スケジュールおよび宿題設定などをページの流れに沿って配置しましょう。
このような構成にすることで、しっかり面談ツールに沿って進めさせすれば、抜け漏れを防ぎつつ、顧客満足度の高い面談を、所員さんでも行うことができるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ベテランの先生は、長年の経験で「説明する・しない」「受注確度」などの判断をしているケースが多いのではないでしょうか。
その結果、非常に高い品質の面談ができている先生もいらっしゃいます。それは素晴らしいことであり、無理に面談の方法を変える必要はないかもしれません。
ただ、本日ご説明した、船井総研としてご提供しているツールや面談の型は、
より多くの先生方に、再現性高く、よい面談をしていただくための最低限の品質担保を狙ったものです。
ぜひ、よりよい面談を起点に、高品質な相続サービスをご提供するための土台としてご活用いただければと思います。
これらの面談ツールや、ロールプレイングについてご興味がある先生は、どうぞお気軽に「無料経営相談」をご利用ください。
実際のツールなどをお見せしながら詳しくご説明いたします。