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司法書士の先生方へ。紹介案件の獲得に限界を感じていませんか?
船井総合研究所 法務・税務ビジネス支援部の谷口でございます。
日頃より多くの司法書士事務所様の経営サポートをさせていただく中で、「不動産会社との関係構築が頭打ちになっている」「単発の紹介はあっても、安定的な案件獲得につながらない」「競合事務所との差別化が難しい」といったお悩みを頻繁にお伺いします。
もし先生の事務所がこのような課題を抱えているのであれば、本記事でご紹介する「不動産会社開拓と葬儀社開拓を同時に実現する」という新たなアプローチが、現状を打破する大きなヒントになるかもしれません。
この記事では、多くのご支援先で成果実証済みの、単なる異業種交流ではない、戦略的な紹介ルート構築の手法を具体的にお伝えいたします。
司法書士が「葬儀社」を開拓すべき3つの戦略的理由
なぜ、今あえて「葬儀社」との連携を強化すべきなのでしょうか。その背景には、司法書士と葬儀社の双方にとって、無視できない大きなメリットが存在します。
1. 葬儀社の潜在的ニーズ:相続の専門知識の必要性
葬儀社の営業担当者は、ご遺族と最初に接点を持つ極めて重要な立場にあります。
その現場では、「今後の手続きはどうすれば?」「不動産の名義変更は?」「成年後見についても相談したい」といった、相続に関する専門的な質問が日々寄せられています。
しかし、多くの営業担当者は専門家ではないため、的確な回答ができず、顧客満足度を上げきれないというジレンマを抱えています。
ここに、司法書士が専門知識を提供し、強力なパートナーシップを築く絶好の機会が眠っているのです。
2. 司法書士のメリット:最も川上からの集客チャネル
相続手続きは、ご逝去の直後から始まります。
葬儀社と提携することで、司法書士は相続発生のまさに最上流で、潜在顧客にアプローチできます。
例えば、葬儀費用の精算時などに、先生の事務所が監修した「相続手続きハンドブック」や「無料相談チケット付きチラシ」をご遺族へ手渡してもらうことが可能になります。
これは、他の事務所がまだリーチできていない層への、極めて効果的な先行アプローチとなります。
3. WIN-WINの関係構築による安定的な紹介
葬儀社にとっては顧客満足度の向上と他社との差別化につながり、司法書士にとっては安定的な集客チャネルの確保につながる・・・
このような明確な相乗効果があるからこそ、私たちはご支援先の司法書士事務所様に対し、戦略的な葬儀社との提携を強く推奨しています。
これは、一度きりの名刺交換で終わる関係ではなく、お互いの事業成長に貢献しあう、継続的なパートナーシップなのです。
成功事例に学ぶ!不動産会社向けセミナーを活用した葬儀社開拓の具体的なステップ
では、どのようにして提携先となる優良な葬儀社を見つけ、関係を構築すればよいのでしょうか。
ここで鍵となるのが、多くの事務所様が既に取り組んでいる「不動産会社向けの自社主催セミナー」の活用です。
「不動産会社向けのセミナーに、なぜ葬儀社が?」と疑問に思われるかもしれません。
しかし、これこそが本手法の核心です。
相続において、不動産が絡む案件は非常に多く、不動産会社も「権利関係が複雑な物件」「当事者が認知症のケース」など、専門家のアドバイスを求めています。
そこで、「家族信託」「成年後見」「相続不動産の売却実務」といったテーマでセミナーを開催するのです。
ここからがポイントです。
そのセミナーの案内を送る際に、不動産会社だけでなく、地域の葬儀社にも「相続の最新知識を学び、お客様への提案力を強化しませんか?」という切り口で招待状を送ります。
セミナーのテキストには、不動産向けの内容に加え、葬儀社の実務に役立つ「死後の手続き一覧」「遺族からよくある質問と模範回答集」といった章を追加しておくことで、参加満足度をさらに高めることができます。
この取り組みを実践したご支援先では、驚くべき成果が上がっています。
- 葬儀社から「うちの営業マン向けに勉強会を開いてほしい」という依頼が舞い込む。
- 「終活イベントを共同開催したい」という提案を受ける。
- 「事務所の相続ハンドブックを、うちの全顧客に配布させてほしい」といった声が寄せられる。
そして何より、セミナーに参加した葬儀社から、直接相続案件の紹介が生まれ始めたのです。
あるご支援先の事例では、月間30件ほどの葬儀を行う地域密着型の葬儀社と提携した結果、毎月6件~10件の無料出張相談の依頼が安定的に入るようになりました。
そこから約50%、つまり4件~7件の相続案件を受任し、さらに毎月2~3件の不動産売却案件へと発展しています。
これは、まさに理想的な紹介ループと言えるでしょう。
司法書士がハブとなる「三方良し」のビジネスモデルを構築する
この手法の最大のメリットは、単に紹介案件が増えるだけではありません。不動産会社と葬儀社を同時に巻き込むことで、司法書士が中心(ハブ)となった「三方良し」の盤石な協力体制を築ける点にあります。
具体的な流れはこうです。
- (葬儀社→司法書士) 葬儀社が司法書士へ相続相談案件を紹介します。
- (司法書士→不動産会社) その案件から発生した不動産売却のニーズを、セミナーに参加している提携不動産会社へ紹介します。
- (不動産会社→葬儀社) 不動産会社は、成約した売買手数料の一部(例えば20~30%)を紹介料として葬儀社へ支払います。
このモデルを構築することで、司法書士は葬儀社から「紹介料」を直接請求されるといったリスクを回避しつつ、関係者全員にメリットを提供できます。葬儀社は新たな収益源を、不動産会社は安定した案件獲得を、そして司法書士は両者からの信頼と継続的な紹介を獲得する。
まさに、地域における相続ビジネスの生態系を、先生の事務所が主導して創り上げることができるのです。
まとめ:次のステップへ
今回は、不動産会社向けセミナーをフックに、葬儀社との強固な提携関係を築き上げる具体的な手法をご紹介しました。
「そもそも不動産会社の効果的な開拓方法が知りたい」
「ハウスメーカー、地場不動産、大手仲介など、アプローチ先ごとの攻略法を知りたい」
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