いつもコラムをご覧いただきありがとうございます。
本日は、相続実務スタッフの育成について、
船井総研の相続・財産管理研究に所属している事務所様のデータおよび、2024年3月に実施した相続手続き実務研修の結果より、
①一般的に育成にかかる期間はどらくらいか
②一般的な育成ステップはどのような流れか
③悩みの多いマニュアル作成やスキル向上に必要なことは何か
について整理しお伝えいたします。
目次
①一般的に育成にかかる期間はどれくらいか
アンケートの結果より、相続実務のスタッフ育成にかかる期間について
・1か月~3ヶ月:23.5%
・3ヶ月~6カ月:58.5%
・6カ月~12カ月:14.7%
・12カ月以上:2.9%
という結果がでています。
※期間については、遺産承継業務について、完全に任せることができるまでの期間をご回答いただいています。
もちろん、相続の業務量などによって育成できる期間は変動しますが、概ね6ヶ月程度かかるというのが標準的な期間です。
実務のマスターは早ければ早いに越したことはありませんので、できれば3ヶ月で独り立ちできれば理想的です。
しかし、3ヶ月以内で独り立ちできているのは2割程度というデータからも、「普通にやっていては実現できない」ということがお判りいただけるかと思います。
では、どのような手順で、どういった研修やマニュアルといった仕組みを活用すれば、早期に実務のプロを育成することができるのでしょうか?
②一般的な育成ステップはどのような流れか
育成期間が3ヶ月以内の事務所では、概ね、以下の流れで遺産承継業務について教育をしています。
①戸籍の読み方・収集方法
②相続相関図の作成
③金融機関の手続き
④財産目録の作成
⑤遺産分割協議の作成
⑥登記申請書の作成
共通するのは、まず戸籍からはいるということです。
いずれの工程においても、工夫すべき点としては「ひな型から外れるチェックポイント」を早く会得してもらうにはどうするかということになります。
そのためには、例えば、実物の戸籍パターンを複数用意しておき、ロールプレイング的な形で戸籍を正しくたどれるか確認する「模擬調査」がおすすめです。
また、金融機関ごとに異なるルールがある工程については、属人化させず、最も効率のよい作業手順をマニュアル化しておくことが必要です。
しかしこのマニュアル活用が難題で、多くの事務所において
・マニュアル作成自体が手間ですすまない
・マニュアルを作成しても、必要な更新ができていない
・マニュアルがあっても、ほぼ見られず活用できていない
といった課題があげられています。
③悩みの多いマニュアル作成やスキル向上に必要なことは何か
相続実務のマニュアルについては、作成と更新が容易でアクセス性がよいツールを利用することが重要です。
更新の容易さ、アクセス性の良さ、他のデータとの連動性などの観点から、紙ベース、WordやExcelよりも、クラウドサービスの利用がおすすめです。
なかでも、Google Siteという無料のサービスがおすすめです。これは、簡易的な事務所専用のサイトをつくれるサービスで、各種Googleのサービス(ドキュメント・スプレッドシート)と連動させられます。
Google Siteでは、所員全員がアクセス可能なページとして、
・必要な工程一覧を作成してあるページを作成する
・詳細なマニュアは、Googleドキュメントやスプレッドシートで作成し、関連するリンクを上記の一覧に付与する
・必要に応じて別のページや1つ下の階層ページに分けて、工程ごとに画像付きで解説を記入する、といったことが可能です。
なお操作方法については、コーディングの知識は一切必要なく、通常のPC操作(文字を打つ、画像をコピー&ペーストする)で作成が可能です。
マニュアル作成をする前提として、商品ごとの業務マスタ(工程を標準化し、一覧化したもの)の作成も重要です。各人で業務の進め方が異なっている、各人がおこなっている業務が、全体工程においてどういった意味をもつのか分からないまま進める、ということは避けるべきです。
こういった状況は、そもそもマニュアルを作成する意味自体がなくなりますし、育成効率が非常に悪くなります。
まとめ
船井総研では、相続分野のマーケティングから、組織体制の整備までサポートしています。
その一環として、定期的な勉強会である「相続・財産管理研究会」では、会員様向けサービスとして、所員様向けの各種実務研修を無料で開講しております。
今回ご紹介した実務のポイントやマニュアル作成についても、これらの実務研修でお伝えしています。
実務研修はオンラインで、何名でも無料でご参加いただけます。
ぜひ、貴事務所の実務体制強化に、相続・財産管理研究をご活用ください。無料でお試しご参加もいただけますので、ご興味のある先生は、ぜひ一度、お問い合わせください。