【相続業界】時流予測レポート2025 (今後の見通し・業界動向・トレンド)

目次

【2025年以降の士業業界】淘汰される事務所、成長する事務所、その決定的な違いとは?

2025年を目前に控え、士業業界は大きな変革の時代を迎えています。多くの先生方が肌で感じていらっしゃるように、日本国内の人口減少は労働力不足を深刻化させ、士業の現場においても「資格者や経験者を採用したくても、応募すら来ない」という声が日増しに大きくなっています。

伝統的に紙ベースでの業務が中心であった士業は、構造的に生産性が上がりにくいという課題を抱えています。加えて、AIやテクノロジーの進化は、これまで安定していた定型的な代行業務の価値を根本から揺るがし始めています。

このような激動の時代において、事務所の未来は安泰でしょうか?本コラムでは、船井総合研究所の士業専門コンサルタントが、数多くの事務所様の経営支援実績に基づき、2025年以降の士業業界の未来を予測し、持続的に成長するための具体的な戦略を解説します。

2025年以降、士業業界を待ち受ける4つの厳しい現実

これからの5年、10年を見据えたとき、士業事務所の経営はこれまで以上に厳しい現実に直面します。現状のビジネスモデルを維持するだけでは、以下のような課題がより深刻な問題として経営を圧迫することは避けられません。

1. 少子高齢化による、かつてない人材不足の深刻化

資格者の高齢化が進む一方で、若手の入職者は減少傾向にあります。特に経験豊富な実務スタッフの採用は困難を極め、多くの事務所が慢性的な人手不足に悩まされています。結果として、代表や一部のベテランに業務が集中し、組織としての成長が頭打ちになるケースが後を絶ちません。

2. AI・RPAによる「代行業務」の価値の低下

これまで士業の収益の柱であった単純な書類作成や申請代行といった定型業務は、今後急速にAIやRPA(Robotic Process Automation)に代替されていきます。低単価で付加価値の低い業務に依存している事務所は、価格競争に巻き込まれ、収益性が著しく低下するリスクに直面しています。

3. アナログ業務が引き起こす生産性の低下と長時間労働

依然として多くの事務所で主流となっている紙とハンコを中心としたアナログな業務フローは、非効率の温床です。書類の検索、印刷、郵送といった作業に多くの時間が費やされ、結果として従業員の残業時間が伸び、生産性は低下の一途を辿ります。これは従業員満足度の低下にも直結し、さらなる離職と採用難を招く悪循環を生み出します。

4. 生産性の低さが招く「淘汰」の時代へ

人材を採用できず、生産性も低いままでは、増え続ける案件に対応できなくなります。結果として、売上は伸び悩み、競合との差は開く一方です。顧客へのサービス品質も低下し、最終的には市場から淘汰されるという厳しい未来が待ち受けています。

逆境でも成長を続ける事務所が実践していること

一方で、このような厳しい環境下でも、着実に業績を伸ばし続けている事務所も数多く存在します。そうした事務所は、時代の変化を的確に捉え、大胆な変革に取り組んでいます。ここでは、特に成功事例の多い「相続分野」と「不動産登記分野」における取り組みをご紹介します。

【相続分野】紹介依存から脱却し、高付加価値サービスへ

相続マーケットで成功している事務所は、以下の4つの戦略を複合的に実践しています。

  1. 紹介に依存しない自社集客モデルの確立:
    専門性の高いWebサイト(HP)の構築とSEO対策、そして見込み客を育成するセミナーや相談会を組み合わせ、安定的に相談依頼を獲得できる仕組みを構築しています。
  2. ITシステム活用による生産性と顧客価値の向上:
    案件管理システムや顧客管理システム(CRM)を導入し、業務の進捗状況を可視化。これにより、業務効率を飛躍的に高めると同時に、顧客へのきめ細やかな報告や付加価値の高い提案を実現しています。
  3. 金融機関との強固な業務提携:
    地域の金融機関と深く連携し、単なる案件紹介にとどまらない、共同でのセミナー開催や商品開発を行うことで、地域における相続分野の第一人者としての地位を確立しています。
  4. 「事業承継」分野への戦略的参入:
    相続案件で接点を持った経営者に対し、事業承宿継という次の高付加価値サービスを提案。事務所の収益性をさらに高めることに成功しています。

【不動産登記分野】「属人的な営業」からの脱却

不動産登記分野で紹介案件を増やしている事務所は、営業活動を「仕組み化」しています。

  1. 不動産仲介会社への戦略的アプローチ:
    従来のハウスメーカーだけでなく、より多くの案件が発生する不動産仲介会社との関係構築に注力し、紹介のパイプラインを複数確保しています。
  2. 営業プロセスの仕組み化と分業体制の構築:
    コールセンターの活用や営業専任スタッフの採用により、「代表の個人的な繋がり」に頼る属人的な営業から脱却。「誰でも成果を出せる営業の仕組み」を構築することで、代表は事務所経営やより専門的な業務に集中できるようになります。

これらの事務所に共通する成功要因は、「時流を読み、良いと判断した戦略を徹底的にやりきる実行力」「常に最新の成功事例や経営情報を学び続ける姿勢」 にあると言えるでしょう。

2025年以降、士業事務所が目指すべき3つの方向性

これからの時代を生き抜き、持続的な成長を実現するために、すべての士業事務所に求められることは以下の3つです。

1. デジタルとテクノロジーの戦略的活用

集客(Webマーケティング)と業務処理(各種ITツール)の両面で、デジタル技術を積極的に活用し、生産性を抜本的に改善することが不可欠です。

2. 顧客志向を追求した高付加価値な体制構築

単なる手続き代行業者から、顧客の課題を解決するコンサルタント・専門家へとサービスの質を転換することが求められます。顧客の真のニーズを深く理解し、それに応えるための体制を構築する必要があります。

3. 「特定業務・特定紹介元への依存」からの脱却

特定の業務分野や特定の紹介元に売上の大半を依存する経営は、環境変化のリスクに非常に脆弱です。収益の柱を複数持ち、代表の個人的なスキルや人脈に依存しない、盤石な組織体制を構築することが重要です。

貴事務所の未来を創るための第一歩を

「ここ数年、売上は安定しているから大丈夫」と考えているとしたら、それは非常に危険なサインかもしれません。重要なのは、売上という数字だけでなく、組織として「持続的に成長」できているかどうかです。幹部や従業員が育ち、新しい取り組みに挑戦できる体制がなければ、5年後の未来は決して明るいものではありません。

私たち船井総合研究所 士業支援部では、全国800以上の事務所様をご支援する中で培った、最新の成功事例と具体的なノウハウに基づき、貴事務所の持続的成長に向けた経営戦略をご提案しています。

「自事務所の現状を客観的に把握したい」「最新の業界時流と、今すぐ取り組むべきことを整理したい」とお考えの先生は、ぜひ一度、無料個別経営相談をご活用ください。貴事務所の未来を共に描くパートナーとして、全力でサポートさせていただきます。

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この記事を書いたコンサルタント

船井総合研究所 相続グループ

船井総合研究所の士業支援部・相続信託ビジネスグループです。
相続・財産管理業務に注力する会計事務所、法律事務所、司法書士事務所、行政書士事務所の相続周辺業務を中心に経営を考えます。