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  • 意外な盲点!?相続分野の業務生産性が上がらない本当の理由

この記事では、連携先との案件のやり取りのポイントについて知ることができます。
1.連携先と案件紹介において事前にルールを決めておく
2.連携先、紹介先にとって必要不可欠な存在になるための考え方

昨今、相続分野に取り組む士業事務所経営者からのご相談の多くに、

「生産性が低く困っている」
「業務効率化を推進して、所内の生産性を上げたい」
「生産性を上げるために、システム導入を検討している」

などのご相談を頂くことが多くなりました。

税理士であれば顧問業務、司法書士であれば登記業務と比べ、
相続部門の業務生産性が低く、現状では不採算な部門になってしまっている為、
相続の取組みを継続するか否かを事務所で検討している、
という事務所様もいらっしゃいました。それは非常にもったいないことです。

集客だけではなく、いかに業務を効率化し、業務の生産性を上げていくか、
いかに利益を残していくかが、士業事務所にとっても非常に大事になってきています。

業務の生産性を上げるための取り組みとして、業務効率化や、省力化、
最近では紙やファイルでのアナログ管理から、デジタルシステムを活用した案件管理、
kintoneやZohoなどのCRMシステムを活用し、
クラウド上での案件管理、KPI管理、を行うなどのデジタルシフトを図ろうとされる
中堅以上の事務所様からのご相談も増えています。

生産性を上げるために、確かにそのような取り組みも必要なのですが、

一方で導入のためのコストもかかり、また所内スタッフを説得し、理解させ、
そのシステムを定着させるのにもかなりの時間を要すため(これが一番のコスト)、
必要ではあるものの、「すぐに取り組める」というものではないかもしれません。

最近の経営相談で、相続税申告に特化した会計事務所で
業務生産性が非常に高い二つの事務所の先生とお話をさせていただきました。

そのお二人がおっしゃっていたことの共通点に
「連携先とのルール作りが不可欠」というものがありました。

連携先からの紹介案件はコストがかからず、安定的な案件を獲得できる
というメリットはあるものの、

「連携先からの紹介案件は断りにくい」
「先方のスタッフが業務を丸投げしてくるため、業務量も多い」
「案件を最大化するためにまず相談を促すが、依頼確度が低い顧客も多く、振り回される」

などと、連携先との案件のやり取りについて悩んでいる先生方も多いのではないでしょうか

目次

連携先と案件紹介において事前にルールを決めておく

上記のように、連携先との業務のやり取りで業務生産性が上がらない殆どの理由は
「連携先とのコミュニケーション不足」これに尽きます。

連携先と案件紹介において事前に決めておきたいルールの例として

・業務の線引き、つまり先方にどこまでやってもらいたいかを明確に決めておくこと
・見込み客の受任確度の確認、見極めのためのチェックポイントの共有
・顧客情報の共有、また可能であれば収集した書類などの共有

前述の生産性が高い士業事務所の経営者お二人がおっしゃっていたことに

「お付き合い先の金融機関が(行政書士事務所が)~~まで行ってくれるから、
うちの仕事は非常に楽で、生産性も高い」

ということがありました。

連携先との関係が、まだそこまで長くなく、
「現状の段階で色々な条件をつけて紹介が発生しにくくなることを防ぎたい」
ということはあるかもしれません。

確か連携の初期段階においては、先方とも業務の取り組み方、考え方が分からず
とにかく紹介件数を最大化するという考え方は間違いではないと思います。

しかしながら一方で、関係構築もある程度できた段階であれば、
連携先とのコミュニケーションをとり、上記のような案件紹介における
ルールを明確に決めておくということが大事です。

連携先、紹介先にとって必要不可欠な存在になるための考え方

案件紹介をしてもらう連携先との関係を強固にし、
紹介案件をさらに増やすため、また、必要不可欠な存在となり、
継続的に関係構築をするためのポイントとして2つ挙げられます。

まず一つ目は「連携先の業務生産性を上げること」

司法書士、行政書士であれば、税理士に相続税申告案件を紹介する前に、
戸籍の収集、財産目録の作成など財産の名義変更や相続登記に必要な書類や情報を
出来る限り税理士に共有することで、税理士の業務負担を減らすことができます。

また、遺産分割協議書は「相続登記を行うための視点」だけで作るのではなく、
「相続税申告を行うための遺産分割協議書」と言う視点も忘れてはならず、
遺産分割協議書の作成においては税理士とコミュニケーションを進めながら行う
といったこともポイントです。

相続分野最大手の行政書士法人は、上記のようなポイントを押さえており、
連携先の税理士法人経営者から「〇〇さん以外とはできるだけ付き合いたくない」と
いう評価を受けています。

そして二つ目は「相手の売り上げを上げること」

連携先の売上を上げるという視点ももちろん大切です。
しかし、それは案件紹介などの「実弾」提供だけの話ではありません。

例えば、司法書士と税理士の関係性として、

相続登記のご相談者で、相続税申告が必要だった場合に、司法書士から税理士に顧客を紹介する、報酬は相続登記10万円程度、相続税申告報酬70万円程度と売上に大きな差が出ます。

司法書士は、紹介先の税理士に対し「紹介した分の売上」という観点でみますが、
税理士は司法書士に対して「紹介した件数」で判断することが多く、

相続税申告の見返りとして、商業関連の手続きを司法書士に依頼することも少なくない
と思いますが、相続業務が多い司法書士事務所にとって、商業登記の案件はかえって
生産性を下げてしまう業務にもなり兼ねず、手放しで喜べるものではないのです。

司法書士は紹介手数料もらうことができないために、このような税理士との
「アンバランス」な関係に悩む司法書士も少なくないと思いますが、

そこでご提案したいのが「共同商品を作る」という考え方です。

例えば、相続登記と相続税申告が必要な顧客に対し、その両方をワンストップで
対応する共同商品を作り、その報酬を折半する(半額ずつを顧客に請求する)
というやり方で、連携する司法書士に喜ばれ、案件紹介や司法書士との関係構築に
つなげている税理士事務所もあります。

なかなか連携がしづらかった司法書士と弁護士も、例えば遺産整理業務に
このような「共同商品」を創ることで、連携がしやすくなる可能性があります。

上記のように、他士業や、ましてや案件紹介をし合う連携先とも
コミュニケーション不足が原因となって、業務生産性の悪化や
案件紹介が最大化できていないなどを引き起こすことがありますので、

是非一度連携先と、改めてコミュニケーションをとることで業務の見直しを図り、
さらなる連携強化と今後の新規連携先獲得に活かしてもらいたいと思います。

 

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この記事を書いたコンサルタント

船井総合研究所 相続グループ

船井総合研究所の士業支援部・相続信託ビジネスグループです。
相続・財産管理業務に注力する会計事務所、法律事務所、司法書士事務所、行政書士事務所の相続周辺業務を中心に経営を考えます。