ここ数年、相続分野の領域には税理士、司法書士、行政書士、弁護士など士業事務所が多く参入されています。
もちろん、それだけではなく、不動産会社や金融機関なども本格的に相続分野のマーケティングに注力し始めてきました。
更に、リーガルテック系ベンチャー企業の参入も増えており、士業の先生方の脅威になっているのではないでしょうか。
「相続に取り組んでいるけど、値下げ競争で昔に比べて報酬が取れなくなった」
「今から相続に取り組もうにも、大手法人がいるから集客できない。集客コストが高騰している」
ご相談を頂く士業事務所の先生方から上記の様なお悩みをいただくことも増えていきました。そんな先生方に、私達、船井総研コンサルタントがお伝えしている内容をシェアできればと思います。
目次
相続登記を7.68万円で対応!来所レス!オンラインで完結
相続登記の義務化が令和6年4月1日施行されることが決定したこともあり、司法書士の独占業務である相続登記のマーケティングが大きく変わっています。
通常、10~15万円程度の報酬で対応されていた相続登記ですが、あるテック系のベンチャー企業(A社)が2019年から開始したWEBサービスが話題となっており、利用者年々増加傾向(総計10,000件以上の申請補助実績)にあるようです。
司法書士業界では大いに話題となり、脅威となっています。
司法書士に依頼するよりも報酬を安く抑えることができるというメリットだけでなく、面倒な事務所への来所、面談などを無くし、オンラインで全て完結できると言うサービスが大きな支持を受けています。
相続税申告7.92万円で相続税申告がオンラインで自己完結できる
上記のサービスの「相続税申告業務版」も2018年度から開始されており、申請実績も増えているようです。特に基礎控除をギリギリ超えている、税制改正後に申告対象になった方々からの申し込みが多いようです。
また、自分でやってみたものの、やはり分からないことも多く、丸投げしたいという方向けには、WEBサービスを通じて大手税理士法人を紹介するということも実施されています。一定の顧客がこのようなサービスに奪われているということは、税理士先生方にとっては脅威となる存在ではないでしょうか。
一般的な事務所よりも、相続専門法人の方が報酬が安くできる理由は?
前述のような相続専門法人やテック系企業は、これまでの士業としての相続マーケティングとは大きく異なり、「収益構造を変えている」ということがポイントだと考えています。
具体的には、相続登記や相続税申告手続は「利益を上げるための商品」ではなく、「集客するための商品」として捉え、面談・受任後の手続で顧客情報(相続関係、財産状況)を得ることで、相続後に必要なサービス(相続税申告、不動産売却、二次相続など)を追加提案することで収益を上げることができています。
そのような事務所、企業はKPIとして「受任単価」を捉えるのではなく「LTV(一顧客からいくら購買してもらえるか)」を重点指標としてマーケティングに取組んでいます。
今後の相続分野勝ち残りのポイントは「LTV(顧客生涯価値)発想」
相続発生後の相続手続業務は、今後間違いなく今まで以上に値下げ競争になり、相続手続業務での収益を確保することが難しくなっていくことが予想されます。
その中で、相続手続業務だけで終わらせず、ヒアリングを通じて獲得した顧客情報を道次の提案につなげていくか、という視点が必須になってきます。
①クロスセル(追加提案)、アップセル(上位商品提案)の商品構築
②提案の仕組み化、標準化(提案力に依存しない)
③顧客管理強化
などの施策を強化、投資していくことができれば、事務所の相続マーケティングが大きく変わってくるのではないでしょうか。
具体的な提案の順序としては、以下を参考に提案の流れを検討してみてください。
①独占業務(相続税、紛争、遺産整理)
②相続手続(非独占領域)
③別士業案件紹介(相続税、紛争、相続手続)
④不動産売却(売買仲介、住宅、土地活用)
⑤二次相続(遺言、信託、節税対策)
面談対応者の提案・営業レベルに左右されない仕組みが出来て、誰でも、どの事務所でも相続関連の相談・提案・受任が業種関係なくシームレスにできる仕組みを構築していくこと。
船井総研の相続コンサルタントも、この仕組み創りを応援していきたいと考えております。