この記事では、事業承継税制と事業承継信託の活用場面について知ることができます。
・特例事業承継税制?それとも、事業承継信託?
・特例事業承継税制と事業承継信託のターゲット層は?
・中小企業の経営者のニーズに応えるには!?
先日、第3回事業承継実務研修を開催致しました。
テーマは「ファミリーガバナンス」と題しまして、事業承継信託についての研修でした。
第1回から第3回の事業承継実務研修の内容を整理し、事業承継税制と事業承継信託の
二つの手法について考察していきたいと思います。
目次
特例事業承継税制?それとも、事業承継信託?
事業承継税制と事業承継信託について比較をしながら、考えていきたいと思います。
事業承継税制
・平成30年の税制改正により、10年間の特例措置が創設。
以下、改正点の一部
1.対象株式数が「総株式数の最大3分の2まで」から、「全株式」
2.承継パターンが「複数の株主から1人の後継者」から「複数の株主から最大3人の後継者」
3.雇用確保要件の緩和
・メリット
1.全株式を対象とした100%の納税猶予
・デメリット
1.(贈与時などに)先代経営者が代表権を有しないこと
2.納税猶予であるため、売却額や廃業時には納税する必要があること
事業承継信託
・メリット
1.柔軟な設計が可能であること
・デメリット
1.事業承継税制との併用ができないこと
このように二つの手法を比較してみると、事業承継税制を活用することでお金の問題が解決でき、
事業承継信託であれば経営者の想いの実現をすることができます。
ここから考えられることは、事業承継税制を活用するケースは、自社株評価の高く、
納税問題が一番の課題である企業の事業承継に多くみられそうです。
一方で、事業承継信託を活用するケースは、経営者が影響力を残したい場合や、
相続トラブルを防ぎたい企業の事業承継に需要が多そうです。
特例事業承継税制と事業承継信託のターゲット層は?
上記の比較から、それぞれのターゲットは以下のようになりそうです。
事業承継税制のターゲット
自社株評価が高く納税問題が一番の課題の企業
事業承継信託のターゲット
経営者の想いの実現、相続トラブルを防ぎたい企業
事業承継をしていくことが前提なので、企業の業績が良いというのが前提としては出てきそうですが、
二つのスキームの切り分けとしては、純資産額の大小で分けることができるのではないでしょうか?
つまり、純資産額が大きいほど納税問題が課題になるケースの割合が大きくなり、
純資産額の小さければ経営者の想いを実現することが課題となりそうです。
中小企業の経営者のニーズに応えるには!?
事業承継を支援していく上では、案件の掘り起しが重要になってきます。
事業承継は先代経営者を中心に進めていく案件であるため、経営者の想いをヒアリングし、
それを実現できるような提案をしていく必要が出てきます。
そのため、売上規模が1~3億円程度の中小企業のオーナー社長の事業承継案件では、
事業承継信託を活用する場面が多くなってくるかもしれません。
家族信託が広まってきたことで、事業承継のご提案として事業承継信託も
一つの大きな武器になるのではないでしょうか。
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