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船井総合研究所の城所でございます。
事業を進めていく上で、重要なKPIの一つが「生産性」です。
特に相続分野については他分野と比較して「1人当たり生産性」
(以降、労働生産性と表記)が低くなるケースが多いです。
弊社で関わりのある士業事務所様の場合、
相続分野の労働生産性は1,000万円/年程度が平均値となります。
今回は労働生産性が1,200万円を超える事務所の事例について
解説をします。
目次
労働生産性について
「生産性を上げる」ということは、大別すると2つのアプローチがあります。
①商品の単価を上げる
②業務を効率化する
①については他のコラムで解説しておりますので、
今回は②番について解説をします。
その上で、もう少々生産性について話を続けます。
労働生産性については4名以下の事務所では比較的高いことが多いです。
1,200万円以上というケースも少なくありません。
人数の増加と商品の単価に相関関係は薄いです。
であるならば人数の増加により下落している数値は、②側の観点であると言えます。
実際、多くの事務所で課題として伺うのは以下のようなものが多いです。
・案件処理のために追加採用をしたが、代表も継続して業務処理をしている
→業務における役割が不明確である
・分業が進んだものの、コミュニケーションエラーが発生している、指示にコストが発生している
→人員の拡大に対して仕組みが構築出来ていない
②番の施策を行う際に「出来る目先の施策から」実施しがちです。
一方で本質的な課題や目的は上記のため、
目的に対する成果の大きさなどを考慮して施策を選定する必要があります。
業務効率化事例
それではここからは業務効率化に対する事例を紹介していきます。
ご自身の事務所と状況を比較しながら、実施する施策を選定いただければと思います。
・5年間、使い続けた書類のフォーマットを刷新し、業務を効率化した事例
本事務所では、過去に担当者が作成したWord形式の送付状や遺産承継の業務報告書を使い続けていました。
結果的に、ここ1年で追加された財産目録内の項目などと重複している部分があり非効率が発生していました。
また、複数人が全く別のフォーマットを利用していることもあり、指示出しや担当者育成にも無用な手間が発生していました。
そこで、フォーマットの刷新と統一化を進めることで上記の課題を解決しました。その中でWordではなく、既存のCRMと連動できる書類作成ツールを利用することで書類作成を効率化しました。
・業務の指示出しをシステムにより標準化した事例
本事務所では、複数人の面談担当者がいる中で「業務の指示出し」に差異が生じていることが非効率の原因でした。
特定の担当者は共有が遅い、他の担当者は項目が漏れているなど複数回の確認の必要が出てきてしまっていました。
そこで、指示として記載すべき項目をすべてシステムに落とし込んだ上で、業務フローの中でそれらの登録を行わないと受任登録が出来ないという仕組みを作りました。
結果的に課題が解決したと同時に、全て口頭や紙媒体で出していた指示をチェック項目化したことにより
・指示出しの効率化(チェックを付けていくのみ)
・指示した、していないといったコミュニケーションエラーの解消
を図ることが出来ました。
・業務毎の担当者を決定し、分業を加速させた事例
本事務所では、相続の案件処理に携わる担当者に非常に時間がかかるという点が課題でした。また、パートタイムの方を案件処理の主担当にしてしまうと、お客様からの問い合わせに対応しきれないという問題も発生していました。
そこで、パートタイムの方の対応業務を
・戸籍収集
・遺産分割協議書の作成
・金融機関の解約業務(外回り業務)
etc…
と対応業務を明確に分けることで育成の効率化を実現しました。