この記事では、第2回事業承継研究会の内容を一部公開しております。
1. 後継者に任せるのはまだ10年早い!どのようなご提案が最適か?
2. 事業承継の3つの最重要テーマとは
3. 遺留分除外合意で推定相続人全員の合意を得るために「説得」は必要ない!

いつもコラムをご覧いただき、ありがとうございます。
船井総合研究所の篠原です。事業承継研究会の主宰者をしております。

2020年7月30日 中小機構から「令和元年度 事業引継ぎ支援事業に係る相談及び事業引継ぎ実績」について発表されました。

(2020年7月 中小機構NewsRelease「令和元年度 事業引継ぎ支援事業に係る相談及び事業引継ぎ実績について」より)
https://www.smrj.go.jp/org/info/press/2020/favgos000000rl43-att/20200730_press_01.pdf

こちらのデータから、相談社数は年々増えており、かつ、事業引継ぎ件数については1000件を超え、過去最高を記録し、事業承継におけるマーケットが確実に大きくなっていることが分かります。

さて、今回は2020年8月1日(土)に開催した第2回事業承継研究会より、ご参加いただいた先生方から大好評をいただいた講座のポイントを以下の3点からお送り致します。

1. 後継者に任せるのはまだ10年早い!どのようなご提案が最適か?
2. 事業承継の3つの最重要テーマとは
3. 遺留分除外合意で推定相続人全員の合意を得るために「説得」は必要ない!

目次

1. 後継者に任せるのはまだ10年早い!どのようなご提案が最適か?

事業承継研究会では、「実際にあったご相談内容」をベースに事例検討会を行っております。
そこではご参加の先生方に「ご自身ならどのようなご提案をするか?」を考えてきていただき、共有していただいております。

第2回事業承継研究会の事例検討会では下記の事例についての検討でした。
【事例検討会題材】
会社:土木建設会社
創業家親族関係:オーナー社長(80歳)、長女(55歳)、孫(30歳)
オーナー社長は孫を後継者として考えている。
しかし、社長を任せるにはまだ10年早いと考えている。

さて、皆様ならどのようなご提案をするでしょうか?

なお、ご提案の際には以下の二つに注意する必要があります。
①10年後の社長の年齢は90歳であること
②後継者のモチベーションUPと緊張感を持たすこと

今回の事例検討会でも多くのご提案内容が発表されましたが、その中でも3つのご提案内容をご紹介させていただきます。
① 家族会議を開き、10年間の事業承継計画を作成しながら後継者教育を進める
② 孫を取締役に選任するが、全ての株式を承継させるのは早計のため、当面は議決制限のある株式を役員持ち株会に承継する
③ 一般社団法人を設立し、そこに信託をする

この3つのご提案内容に、「正解・不正解」はありません。
事例検討会は「どのように考えたか?」を共有し、ケーススタディを繰り返すことで、新たな発見・気づきを得ることが目的となっており、参加者の先生方から毎回好評をいただいております。
また、事業承継研究会は士業横断型の研究会のため、他士業の先生からのアプローチを知ることができるというのも大きな魅力になっております。

今回の事例検討会の中でも特に興味深かったのは、経営者に「いつ辞めるのか?」を決めさせるのが、事業承継のハイライトであるというお話でした。

確かに、自分の進退を自分で決めなければならないというのは、とても難しいように思えます。
それが、自分の人生の多くを注ぎ込んできた事業であれば尚更です。
自分一人では決められないからこそ、専門家が第三者としてき「決めさせてあげる」ことが必要なのかもしれません。

では、事業承継において重要なのはどのようなことなのでしょうか?

2. 事業承継の3つの最重要テーマとは

二つ目の事例検討会では、今まで多くの事業承継案件を手掛けてきた税理士の先生からご講演をいただきました。
その先生の豊富なご経験から事業承継における最重要テーマは3つありました。
(ア) 経営上の地位
(イ) 自社株所有
(ウ) 後継者の育成

事業承継においては、多くの課題があります。
例えば、以下のような問題です。
・健康問題
・自社株問題
・後継者問題
・税金問題
・親族問題

しかし、経営者自身もどこが大きな問題になっているのかが分かっていないことが多いです。
それでは、その問題はどのようにすれば見えてくるのでしょうか?

解決の糸口は「経営者の話を聞く」ということではないかと私は思います。
つまり、傾聴です。

その経営者が何を一番重要視しており、どのような承継をしたいのかをヒアリングすることです。
その行為を通して専門家が「問題の見える化」をし、「解決策」を提示していくことが課題解決の端緒になるのではないでしょうか。

「解決策」を見つけるためにも、事業承継の3つの最重要テーマである①経営上の地位、②自社株所有、③後継者の育成について、ヒアリング内容の整理をしていくことで、どの解決策最適なのかが見つかりやすくなりそうです。

そして、多くの中小企業の事業承継における課題は「遺留分対策」になります。
この解決策として、民法特例の遺留分の除外合意がよく活用されますが、これには「推定相続人全員の合意」が必要となっています。

3. 遺留分除外合意で推定相続人全員の合意を得るために「説得」は必要ない!

経営者が何を重要視しているかをヒアリングすることは重要です。
例えば、経営者が「家族円満な事業承継」を一番重要視していたとします。
しかし、経営者の財産が自社株に偏っている場合では、大きな問題がでてきます。
それは、経営権は集中しようとすると、他の相続人の遺留分を侵害してしまうからです。

これを防ぐために、民法特例の「遺留分の除外合意」が活用できます。
この制度を活用すると、後継者を含めた現経営者の推定相続人全員の合意の上で、現経営者から後継者に贈与等された自社株式について、遺留分算定基礎財産から除外することができます。
そのため、後継者が現経営者から贈与等によって取得した自社株式について、他の相続人は遺留分の主張ができなくなるので、相続に伴って自社株式が分散するのを防止することができます。

「推定相続人全員の合意」を得るために、後継者以外の家族に自社株を遺留分から除外してもらうように「説得」しようとしても、うまくいかないかもしれません。
力で納得させようとすると、人は反発します。
それでは、どのようにすればよいのでしょうか?

それは、「説得」ではなく、「対話」をすることです。

コミュニケーションの手法は実は様々なものがあり、その一つが「対話法」です。
「説得」をしようとせずに、「対話」をする。
これを意識することで、コミュニケーションは大きく変わってくるかもしれません。
普段の生活中からでも是非活用してみてください。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
事業承継研究会ではこのように、今後の成長マーケットである「事業承継」について情報発信を進めてまいります。

最後までお読みいただき、事業承継に興味を持っていただけた皆さまには1事務所様1回に限り無料でお試し参加をすることが出来ますので、是非お申込み下さい。
【次回の日程は下記になります】
・10月9日(金)10:30~16:00@オンライン

お申し込みはこちらから
https://www.funaisoken.co.jp/study/059508

ご質問がありましたら、下記までご連絡下さい。
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株式会社船井総合研究所
事業承継研究会 担当事務局
アドレス:jigyou-syoukei@funaisoken.co.jp
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本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【執筆者:篠原 優介】

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この記事を書いたコンサルタント

船井総合研究所 士業支援部

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