
いつもお世話になっております。
株式会社船井総合研究所の大道です。
現在多くの士業事務所では、日々の業務管理にExcelやスプレッドシートが活用されています。しかし、事業が拡大し、案件数が増えるにつれて、
「情報が複数のシステムに分散して必要なデータが見つからない」
「Excelやスプレッドシートの関数が崩れる」
「そもそも集計結果の数字の信憑性に疑問が生じる」
などといった課題に直面し、「このままでは情報管理の限界だ」と感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。 
今回は、まさにこれらの課題をkintone導入によって解決し、売上2倍と人時生産性1.5倍を実現した司法書士事務所様の事例をもとに、kintoneがもたらすメリットとDX推進の重要性をご紹介いたします。
愛知県を中心に展開している同事務所様は、県内に6店舗もの支店を構え、約40人規模で遺産相続業務に強みを持つ事務所です。このように規模の大きい事務所で、どのようにスムーズなkintone導入を実現したのでしょうか?
目次
不完全な情報管理体制が招く様々な課題
当司法書士事務所では、kintone導入前、情報管理を紙、Excel、スプレッドシートなど複数のツールで行い、情報共有は口頭に頼っていました。
特に、反響管理と案件管理が別々のシステムで行われていたため二重入力が必要となり、Excel関数の崩壊や、データ集計の信憑性に対する疑問が生まれていました。 
また、売上は上がっているものの利益率が伸びない原因を調査した結果、
「管理がバラバラでデータの把握に時間がかかり、案件の進捗が把握できていない」
「問い合わせ後の面談の連絡や面談後の受任確認を怠っていることがあり、必要な追客対応ができていない」
といった情報管理体制の課題が浮き彫りになりました。
そこで同事務所は、「Excel・スプレッドシート管理の限界」を感じて、全情報を一元管理するためにkintoneの導入を決断しました。
kintone導入を成功に導く3つのステップ
同事務所がkintone導入をスムーズに行うために、以下の3ステップを踏んで導入を進めました。
1.紙ベースマニュアルの移行と「抜け漏れ防止」への対応
複数の店舗を持つ同事務所では、トップダウンで導入を進めることで、スムーズな導入を実現しました。
はじめに着手したのは、紙で管理していたマニュアルの項目をkintoneアプリに追加することでした。kintone導入後は現場の意見も取り入れながら、修正を繰り返し行いました。修正の結果、入力する項目が増えると「抜け漏れリスク」が発生するため、入力ルールを制定し、管理者が確認を行う工程を追加しました。それらの取り組みによって、「何をどのタイミングで入力すべきかわからない」といった現場からの声を解消しました。
2.役割の権限移譲によるマニュアルの見直し
従来のマニュアルをkintoneに移行する際、マニュアルを見直すと、「資格者の業務過多」という新たな課題に直面しました。そこで、資格者に集中していた業務負荷を分散させるため、役割の権限委譲を並行して実施しました。具体的には、代表の役割であった営業や面談を所長や行政書士へ、業務処理をパートナーへと移譲し、従来の業務マニュアルを抜本的に見直した分業体制を構築しました。
3.デジタルに即した体制へ向けての業務フローの見直し
次のステップとして、業務フローをデジタル環境に最適化した体制へと変革しました。具体的には、紙ベースの確認業務などの無駄な工程を徹底的に排除し、一つ一つの業務をデジタルで実施できるようマニュアルの見直しも行いました。
同事務所様では、この3ステップによってシステムを形骸化させずに、運用を定着させました。
このようにkintone導入は単なるツール導入に留まらず、業務のあり方を見つめ直すきっかけとなり、組織全体の変革を促したのです。
kintone導入がもたらした主な効果
このように業務プロセスと経営体制の抜本的な変革を促すkintoneですが、その結果具体的にはどのような効果が得られるのでしょうか。この事例では、導入後の成果として売上を2倍、人時生産性を約1.5倍に高めることに成功しています。
1. kintone導入で実現する「勘に頼らない経営」
kintone導入の最大のメリットは、経営における「見える化」の実現です。
案件の進捗、計画、実績といったすべての情報が一元管理され、経営状況が数字で「見える」状態になります。これにより、経営層はデータに基づいて迅速かつ的確な課題特定・指導ができるようになり、数字ベースで経営計画を追うことが可能になります。
実際に同事務所の代表者様も次のように語っています。
「デジタルシフトすると、間違いなく生産性が上がり、標準化もでき、経営者の立場からすると全ての情報が見えるようになりました。そのため、気になった瞬間すぐに情報が確認でき、課題と思われるところを抽出して、担当者に状況確認と指導ができています。全て見える化できることにより、全社的に良い方向に行くはずなので、現場と経営者も良い方向に行かせるためにデジタルシフト・DXは必要だと思います。」
また、情報の一元管理と合わせて業務フローの標準化や権限委譲が進むことで、特定の担当者に依存していた業務の「属人化」から脱却できます。現場の担当者も「次に行うべきこと」がkintone上で明確になるため、業務の抜け漏れが防止され、組織全体の効率が向上します。
2. 連携システム導入による飛躍的な生産性向上
kintoneの真価は、他システムとの柔軟な連携によってさらに高まります。
同事務所では、kintoneの連携システムであるRepotoneUやカイクラ、Boxも同時に導入されました。その結果、帳票出力システムであるRepotoneUの導入により、市町村別の申請書類作成時間が30分から10分に短縮されました。また、顧客電話連携システムであるカイクラを導入することで、着信時に顧客情報を瞬時に特定できるようになり、お客様対応のスピードと質が劇的に向上しました。
このように、kintoneを基盤とし、必要な機能を持つ連携システムを組み合わせることで、業務効率は最大化され、飛躍的な生産性向上を実現できるのです。
同事務所の事例について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
業務のマニュアル化と分業体制構築により、売上2倍・人事生産性1.5倍を実現した事例
まずは「成功の秘訣」を学ぶことから始めませんか?
この事例からもわかるように、kintone導入は情報管理体制を整備するだけでなく、ムダな作業時間を大幅に削減し、生産性の向上に直結します。
さらに、データに基づく迅速な判断が可能になることで案件の取りこぼしを防ぎ、結果として売上アップを達成し得る強力な一手となるのです。しかし、
「デジタルシフトは必要だとわかっているが、何から手をつけていいかわからない」
「現場からの抵抗が心配だ」
と感じていらっしゃる経営者の方も多いことでしょう。
kintoneを成功させるためには、今回ご紹介した事例のように、「導入前の課題を明確にすること」と「現場を巻き込みながら、デジタルに即した業務プロセスへと変革すること」が非常に重要です。
弊社では、kintone導入を検討されている方、または既に導入済みでさらなる活用を目指す方を対象に、セミナーを随時開催しております。
kintoneの基本的な説明に始まり、成功事例の解説や、具体的な活用方法、導入・定着化を成功させるためのステップなど、実践的なノウハウを直接学べる貴重な機会です。
「見える化経営」への一歩を踏み出し、業務の「ブラックボックス化」を解消したいとお考えの方は、ぜひこの機会にセミナーにご参加ください。
【開催概要】 士業事務所向け kintoneで実現する案件管理
【日時】(いずれかのお日にちでご参加ください)
①2025/10/01 (水)13:00~16:00
②2025/10/07 (火)13:00~16:00
③2025/10/08 (水)13:00~16:00
④2025/10/11 (土)13:00~16:00
【形式】オンラインセミナー(Zoom)
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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