法律事務所コンサルティングチーム 鈴木 圭介(すずき けいすけ)
2016年7月の本コラムにて
「業際という考え方が、年々、市場のニーズと合致しないというケースが増えている」
とお話をさせて頂きました。
現在、数少ない成長市場の一つとして事業承継分野がございます。
廃業される企業数は、年間で約30万社となっており、
創業件数の倍近い件数となっています。
その内、約半数は事業承継を考えられているといわれており、
創業と同規模のマーケットが存在しております。
事業承継分野は、税務の問題だけではなく、むしろ
弁護士・社労士・司法書士が活躍する場面が存在します。
事業承継を取り巻く課題の中心は、税務と考えられがちですが、
労務・組織再編に関する課題が実際には多いです。
事業承継に精通している税理士・会計士から「事業承継を適切に行うには、
労務や組織再編に関する専門家のお力を借りたいケースは多い」
と話される方は多いです。
事業承継はM&Aと同様に、税金や株主構成の議論になるのは、
最終的な部分であり、事業承継を考える上では、
「人」「組織」の承継をまずは考える必要があります。
「人」「組織」に関する問題が解決できず、
事業承継が成立しなかったというケースは多く、
悩まれている経営者は非常に多いです。
その悩みに寄り添い、解決策を提示することが、
士業を中心とした専門家には求められています。
また、労務・組織再編に関する問題は、大企業だけの問題ではなく、
むしろ中小企業の事業承継の方が、問題が多いです。新しい知識の習得が
全く必要無いということではありませんが、日常的に扱われている
労務トラブルの対応スキルや定款作成に関するスキルを応用・活用することで、
事業承継分野に参入することは十分に可能です。
既存の業際に捉われずに、伸びているマーケットに目を向け、
今持っているスキルを活用できないかという視点を持ち、サービスを開発し、
マーケットへ参入していくことは、今後より必要になってくるスキルだと考えられます。
是非、税理士以外の士業の方々も事業承継市場への参入に
チャレンジをして頂きたいと思います。
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鈴木 圭介(すずき けいすけ)